障がい者雇用事例/おおつかがゆく!

障がい者と働くと社員が成長し、会社が成長することを実感しています。

税理士法人 古田土会計
専務取締役 吉田 由美子 さん
リーダー 十河 寿寛 さん

「日本一元気な朝礼」と呼ばれるユニークな朝礼で有名な税理士法人古田土会計さん。
障がい者雇用は経営計画書の長期事業構想にきちんと明記されていたのだそう。まさに有言実行で取り組んでいる障がい者雇用についてお話をうかがいました。

こちらがその有名な朝礼の風景。
「日本一元気な朝礼」には年間1000名もの見学者が来るのだとか。
全社員が一同に介して行われます。
おおつかも参加させていただきました。

古田土会計で働く障がい者スタッフのおひとり伊藤さんです。
すがすがしい笑顔が印象的。


決算報告書の入力や、年末調整データの入力などを行っています。

 

専務の吉田さん、障がい者雇用担当の十河さんにお話をうかがいました。

おおつか:障がい者雇用に取り組まれたきっかけというのは?

吉田さん:会社の社会貢献活動として福祉事業所で生産した製品を購入するなどはしていました。企業としてもゆくゆくは障がい者雇用に取り組みたいという思いはありました。
経営計画書の長期事業構想には「障がい者雇用に取り組み社会に貢献する」と明記もしていましたが、会計事務所で障がい者雇用はできるのだろうかという気持ちがありました。会計事務所はお客様の重要な機密書類を取り扱うことも多いですしね。

おおつか:なるほど。

吉田さん:そんな折、お客様に出すDMの封入の作業を依頼していた福祉事業所から、知的障がい者を採用してほしいと依頼があったのです。機密書類のシュレッダーや、お客様からお預かりした領収証などのファイリング、給与明細の封入などで貢献できるという提案で。

おおつか:どうされたんですか?

吉田さん:はいと即答するに不安もありましたが、弊社の経営計画書にも「障がい者雇用をする」と明記してありますし、福祉事業所の職員さんも毎日来てくれる。思い切って採用に踏み切りました。

障がい者雇用担当の十河さんです。

十河さん:精神障がい者雇用と言っても、まったく知識もありませんでした。正直怖かったです。不安も大きかったです。

おおつか:どうされたんですか?

十河さん:セミナーにも出ました。見学にも行きました。そのうえで就職に向けて訓練中の精神障がい者に実習してもらいました。その後トライアル雇用も経て、短時間の勤務からスタートしていきました。

おおつか:そうしたら?

吉田さん:心配は杞憂でした。すぐに職場に慣れてくれ、仕事もきちんとやってくれました。
5年たった今ももちろん、働き続けてくれています。

吉田さん:もっと多くの障がい者を採用したいと思ったときはもう少し工夫が必要でした。機密書類のシュレッダーなどの軽作業的な仕事では、仕事量が足りない。

おおつか:それで精神障がい者の採用に取り組まれたという事ですね。採用の決め手はなんだったのでしょうか?

十河さん:仕事の正確性です。吉田が「スピードより正確性を重視しなさい」と言ってくれました。われわれ会計事務所は正確性が何より大事です。吉田があえてきちんと「正確性」と言ってくれましたので安心して伊藤を採用できました。

十河さん:そして伊藤はとてもスムーズに職場に適応してくれました。意欲も高くて、入社してから簿記2級の資格を取ってくれたりして、どんどん職域も広げてくれました。障がい者スタッフのリーダー的存在でもあります。

おおつか:すごく順調に行ったんですね。

十河さん:実はそうでない経験もしています。2人目に採用した精神障がい者は1か月半ほどで退職となっています。

おおつか:伊藤さんとその方(退職した精神障がい者)の違いは何だったんですか?

十河さん:支援機関の方に、「お世話になっていた」という理由で採用したんです。何かあっても支援機関に頼ればいいという気持ちがあったんだと思います。今振り返ると、症状が安定していない人で、いわゆる就労の準備が整っていなかったと思います。その人を採用段階で見極めずに入社させてしまった。この経験は大いに教訓になりました。

おおつか:障がい者スタッフの仕事について教えてください。

十河さん:現在5名の障がい者が就労中で、知的障がい者1名、在宅雇用の身体障がい者1名、精神障がい者は3名です。精神障がいのあるスタッフは、主に決算報告書の入力、年末調整、年度更新、算定の給与データ入力などの業務の一翼を担ってもらっています。

吉田さん:彼らが「やらなければならないけれどできていないこと」をやってくれていますので、社員たちは本当に感謝しています。

吉田さん:障がい者法定雇用率というのはいい制度だと思います。
本来障がい者雇用というのは、義務だからやるということではいけないとは思いますが、法定雇用率というのがきっかけで意識が変わります。そうでなければずっとよそ事のままなんでしょうね。

吉田さん:あらためて考えてみると、障がい者というのは社員の身内に一人や二人は必ずいます。障がい者雇用を始めた後、障がい者を家族に持つ社員から感謝を伝えられたこともありました。障がい者を雇用することで、他の社員の幸せや安心感にも貢献できているんだと感じました。

おおつか:今後のご計画についておきかせください。
吉田さん:仕事の幅をどんどん習得していってもらって会社に貢献してもらいたい。現在5名の障がい者を10名にまで増やしたいと思っています。会計事務所は、その時期その時期で決まっているルーティン業務がありますので可能性がたくさんあると思っています。そして将来は、障がい者だけでなく、高齢者や母子家庭のお母さんなど就労の困難な方たちをもっとたくさん採用して、その部門だけ採算をとれるようにしたい。別会社化も夢じゃないですね。

~おおつかのひとりごと~

中小企業での障がい者雇用においては経営層の姿勢が明暗を分けると言っても過言ではない。だがそれだけでは「障がい者と健常者があたりまえに働く職場」にはならない。社員たちに「障がい者と一緒に働いてよかった」と思われなければならない。そのための「仕組み」がとても大事だ。職域の選定、特性の理解、社員たちの理解と協力、そして本人の努力。機能させるための「仕組み」がとても大事だ。障がい者雇用の担当者として十河さんを抜擢した時、「肯定的な考え方」「行動力」「社内への影響力」を判断基準にしたそう。担当者という「環境」も障がい者雇用の仕組みの一つと言えよう。

訪問先データ

会社名:税理士法人 古田土会計
所在地:東京都江戸川区西葛西5-4-6アールズコート302
従業員数:159人(うち障がい者数:5人)
http://www.kodato.com/

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