障がい者雇用事例/おおつかがゆく!

精神科病院ならではの強みを生かした精神障がい者雇用に取り組んでいます。

医療法人財団 青溪会 駒木野病院
事務部長 井出 さん
ソーシャルワーカー 新井山 さん

豊かな自然に抱かれた高尾山のふもとの精神科病院。
はじめての精神障がい者の採用から1年あまり。最近の状況をうかがいました。

障がい者雇用を進めた事務部長の井出さんとソーシャルワーカーの新井山さんです。

井出さん:とても順調です。最初に採用した3名は病棟やソーシャルワーク科などにそれぞれ配置されています。とても助かっています。
おおつか:社会的な責任は十分に達成されたというわけですね。
井出さん:その後5名増員しました。まだまだ採用できるのではと思っています。受け入れのない病棟から「うちでも」という声が上がってきていますので。
おおつか:すごいですね!
井出さん:お世辞抜きで、現場が喜んでいる証拠だと思います。

おおつか:最初は井出さん(事務部門)一人でお進めになられていたと伺いました。
井出さん:はい。けれども事務部門だけで障がい者雇用を進めても無理だとすぐにわかりました。病棟をはじめ他部門の協力が不可欠なわけですが、果たしてどうやって「よしやろう」という気持ちになってもらうか。
新井山さんに相談しましたらプロジェクトでやろう、計画的にやろうと言ってくれて。

おおつか:それが障がい者雇用プロジェクトなわけですね。
井出さん:そうです。プロジェクトメンバーは、事務1名、看護部2名、精神保健福祉士1名からスタートし、途中から作業療法士2名も加わりました。
看護部にはどうしてもメンバーに加わってもらう必要がありました。職員の3分の2が看護部員ですから。彼らに「いやだ」「面倒くさい」と言われたら終わりです。

新井山さん:井出さんと一緒に、障がい者雇用を進めるための土壌をつくりました。「障がい者雇用は当たり前の時代なんだ」の共有からはじまって、「専門的なことは難しいかもしれない。けれどできることはある」に進化させる。さらには「この仕事ならできそうだ」という感覚をつくっていく。そして、それを全体の勉強会などでも周知していきました。

おおつか:とてもスムーズに進んだように感じます。
井出さん:最初はみんなおっかなびっくりだったと思いますよ。そして「負担が増えるのでは・・」という不安もありました。けれども、いざ働いてみると、そんなことはない。負担どころか自分の仕事が楽になる。そして一緒に働く相手になっていく感覚を持ってくれたようです。
新井山さん:特性に合わせた仕事の与え方などさすが作業療法士だなあと、すごいなあと感嘆します。一般の会社に作業療法士はいませんからね(笑)これは病院の強みだと思います。「専門職という資源」を活用すればきちんと、障がい者雇用はできると思っていたのですが、その仮説は確信に変わりましたね。

 

新井山さん:まだまだやれる仕事がたくさんあるので、職域の充実をさらに図っていきたいですね。最終的にはピアカウンセリング(障害のある当事者が患者さんの悩みの相談にのっていくこと)を担ってもらう当事者スタッフの雇用までやれたらうれしいです。

新井山さん:障がい者スタッフが共用部分の清掃をやるようになった病棟の感染症がゼロになったとか、患者さんとの時間が増えたとか、うれしいエピソードはたくさんあります。
井出さん:「うちの病棟でも受け入れたい」という声が上がってきています。各病棟1人以上の障がい者雇用というのは決して夢ではない話です。
最後に実際のお仕事の現場を見せていただきました。

<ギャラリースペースの清掃>

<共用部分の清掃、環境整備>
専門職がやりたくてもできない部分を中心に文字通りテキパキと作業をします。

<作業療法科の事務業務>

業務の依頼を受けるボックスです。

依頼OKのサインを見て、職員が業務を依頼します。

指導担当の作業療法士さんです。

<医療用廃棄物の処理>

 

~おおつかのひとりごと~

「やるべきことはわかってるけど、自分たちの組織を動かすにはどうすればいいのか」はどちらの企業も悩むことです。外部の支援機関として、FVPは職員向けの勉強会と業務の切り出しをお手伝いするご縁をいただいた。わたしたちのような第三者機関が加わることで、立ち上がりの勢いの一助になれたんだとおもうと、望外の喜び。

訪問先データ

医療法人財団 青溪会 駒木野病院
東京都八王子市裏高尾町273
障がい者雇用人数:8人
内訳:精神障がい6人、発達障がい2人
http://www.komagino.jp/

関連記事一覧

関連コンテンツ

PAGE TOP