障がい者雇用事例/おおつかがゆく!

働きやすさと働きがいを創造することが安定雇用を生む

スターティア株式会社
人事部 千葉BPOセンター 飯田 和一 さん

さまざまな取り組みが注目を浴び、各地の障害者雇用関連の講演会で引っ張りだこのスターティア株式会社千葉BPOセンター。
管理者の飯田さんより、安定雇用を実現するためのユニークな工夫の数々をうかがいました。

おおつか:スターティア千葉BPOセンターでの障害者雇用について教えてください。

飯田さん:2011年3月、2名の障害のある社員の雇用がスタートです。翌年2012年にもう1名が入社し、徐々に人数が増え、現在は10名の障害のある社員が就業しています。

おおつか:飯田さんもスタート時からですか?

飯田さん:いいえ。私は2012年の11月に赴任となりました。

飯田さん:私は、千葉BPOセンターへの着任前は、スターティア本社で人事の管理職をしておりましたが、体調を崩して倒れてしまいました。もはや退職しかないかと思っていた矢先、会社から「障害者雇用をやってほしい」と言ってもらったのです。

おおつか:ご自身の体調もすぐれない中での着任だと、ご苦労も多かったのではないですか?

飯田さん:いいえ。まったくありません!実はこれまでの経験の中では、もっともマネジメントがしやすかったといって過言ではありません。

おおつか:なぜそうお感じになられたのですか?

飯田さん:障害者雇用で就業する社員たちは、自身の障害についての理解、業務における得意・不得意の理解がしっかりとできています。医療のサポートもあります。支援機関のフォローも受けておられます。会社だけで障害者本人を支えなくてもいいのですから安定感が違います。メンタル不調になっていることにすら気づいておらず、医療を含め何のサポートも受けていない方と比べものにならないです。

おおつか:そうかもしれません。
雇用管理面での工夫について教えてください。

飯田さん:得意なことを業務に活かしてもらえるよう工夫しています。何等かの原因により途中で障害者になった社員の場合、前職で身に着けたスキルが高い人もいます。得意なことを具体的に把握していくことが自分の最大の仕事だと思っています。この業務案内も障害のある社員が作ってくれました。

飯田さん:重度の身体障害のある社員、精神障害のある社員たちの状況に配慮し、1時間半ごとに10分間の休憩を設けています。毎日、朝礼、昼礼、夕礼を実施し、一人ひとりの業務進捗と体調についてそれぞれ確認します。さらには、月に1回、業務遂行や体調、行動の振り返り、そして仕事の満足度等を記入した「リフレクティングシート」の提出を求め、支援機関も交えた環境改善を行っています。

<こちらがリフレクティングシート>

おおつか:それは万全の体制ですね。障害の種別や状況に応じて、確認する項目は違うのでしょうか。

飯田さん:すべて統一です。定量的に把握することが大切だという考え方に基づいています。どのように体調がよいか悪いかという個別の状況よりも、変化に敏感になることが大事、変化が察知できればこの人には配慮が必要だと把握ができます。

おおつか:障害のある社員の方はどのような仕事を担当されていますか?

飯田さん:お客様と締結した契約書のナンバリング、PDF化などの契約書管理業務、名刺データの入力業務、全社社員の勤怠入力、優良顧客宛てに送るフラワーアレンジメントに入れるメッセージカード作成業務、人事データベース入力業務・電子書籍出版の事務処理システム開発など多岐にわたります。

飯田さん:作業手順を整えたり、マニュアルの作成もすべて障害のある社員たちで担当します。

おおつか:ふむふむ。

飯田さん:どのような仕組みや手順であれば効率的にミスなく業務が遂行できるかということは、障害のある社員たちは自分が一番良く分かっていると感じています。そしてフローとマニュアルがあれば、誰が担当しても品質が担保できます。体調がすぐれず欠勤しても、他の社員で業務をカバーができるので安心して休養することができます。当然のこと、依頼部署に迷惑をかけずに済みますし、社員たちも安心して業務に取り組むことができます。
わたしにとって千葉BPOセンターの障害者のみんなは部下というより頼りになる仲間といった方が近いかもしれません。

<緊急度、重要度などの優先順位をつけ、業務の遂行を見える化した表>

こちらも障害のある社員の方々が自分たちで作成されたそうです。

飯田さん:私のもう一つの仕事は千葉BPOセンターでの成果や実績を正しく本社に共有することです。社長や人事担当役員にも3ヵ月に1回は千葉に来訪してくれています。そして月に1回は仕事の依頼を受けている部署の管理職を集め、人事担当役員主導でのミーティングも実施しています。経営層の理解や協力があるのでとても助かっています。

おおつか:今後のビジョンを教えてください。

飯田さん:今まで以上に付加価値の高い業務に挑戦し、千葉BPOセンター全体でこれまで以上に会社に貢献したいです。そうすることで働いている社員たちの昇給が現実化します。
また当社の取り組みを多くの企業に知っていただくことで、自社以外でも障害者が戦力として活躍できるようになるとさらにうれしいです。

飯田さん:実は私が千葉BPOセンターに赴任したとき、すでにここにいた3名の障害のある社員たちに3つの約束をしました。一つ目は冷蔵庫、二つ目は休憩室です。これはすでに実現しています。

おおつか:三つ目は?

飯田さん:昇給です。頑張っている社員たちをきちんと評価し、賃金に反映させていけるよう仕組みをつくりたい。赴任して6年目、現実味を帯びてきましたのでがんばります。

おおつか:ぜひとも実現させてください!

~おおつかのひとりごと~

「働きやすさ」と「働きがい」の両面からの雇用管理のアプローチをなさるという飯田さんのお話。千葉BPOセンターで働く障害のある社員の皆さんの表情と発言がそれを証明しているようにうかがえました。温かい雰囲気だけど職場としての凛とした空気。オフィスに一歩足を踏み入れた時の印象です。

訪問先データ

スターティア株式会社 千葉BPOセンター
千葉県千葉市中央区新千葉2-1-7
障害者10名(身体障害、精神障害)
https://www.startia.co.jp/

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