障がい者雇用事例/おおつかがゆく!

障害者雇用を頑張っていると、お客様も評価してくださる時代です

大星ビルメンテナンス株式会社
常務取締役  髙橋 彰 さん

大星ビルメンテナンス株式会社は、大星ビル管理株式会社の100%出資会社で、オフィスビルや商業ビル、ホテル、病院などの清掃管理業務を行っています。同社で障害者雇用で働く山寺優騎さんと柿沼啓介さんの担当現場、東京・本駒込の文京グリーンコートを訪ね、お二人と現場主任の小久保健さん、常務取締役の髙橋彰さんにお話を伺いました。

今回の取材現場はこちら。

東京都文京区にある「文京グリーンコート」。
店舗やオフィス、住居等からなる複合施設。名前のとおり外周には樹木が多数植えられています。

山寺優騎さん。平成22年入社です。


柿沼啓介さん。平成23年入社です。


仕事中のショット。
ビル外部の共用部分の清掃作業です。


テキパキとした動作で、落ち葉を集めていきます。

スイーパーを使っての作業。


角の落ち葉ももれなく集めていきます。


グリーンコートの中央に建つ、センターオフィスビル内の廊下の除塵作業。


追いかけるのが大変なほどのスピードです。


取材日の山寺さん、柿沼さんの業務の予定表。
このリストに書かれた手順に沿って仕事を進めます。


始業は早朝6時30分だそうです。

おおつか:何時に起床するんですか?

山寺さん:4時30分、いや3時30分のときもあります。

柿沼さん:僕は2時30分。

おおつか:そんなに早く起きるんですか?朝起きるとき、眠くないですか?

山寺さん・柿沼さん:眠くないです。

小久保さん:そうかなあ?スマホ買ってから夜遅くまで動画見ちゃって、朝なかなか起きれないといってたよな。この間も遅刻しそうになったよなあ(笑)。


山寺さん:すみません!

小久保さん:(笑いながら)若いんだからいろいろ楽しみたいのは当たり前だけど、仕事に集中できないほど夜遅くまで起きてるのはよくないよな。

柿沼さん:はい。すみません!

おおつか:柿沼さんが入社されたときは、山寺さんはすでにこの現場で仕事してたんですよね。

柿沼さん:そうです。

おおつか:山寺さんのことをどう思いましたか?

柿沼さん:先輩がいて心強かったです。

おおつか:山寺さんはどう思いましたか?

山寺さん:後輩ができたから、今まで以上に仕事を頑張ろうと思いました。


小久保さん:入社1年目の障害者社員には、現場の主任がマンツーマンできっちり1年間教えるというのが会社の方針なんです。そこはもう二人ともばっちり。私はその後の異動でこの現場に来ていまして、今はその次のレベル。

おおつか:その次のレベルですか?

小久保さん:そうです!新しい仕事に挑戦してもらっているんです。彼らの作業工程表には、「主任・副主任に指示を受ける」という箇所があって、日によって違う仕事をやってもらうんです。大変だと思うけどね。仕事の幅が広がるとわれわれも助かるし、いろんな仕事をしたほうが楽しいでしょ。


おおつか:小久保さんと仕事をしてどうですか?

山寺さん・柿沼さん:優しいです。

小久保さん:お世辞は言わなくていいよ。昨日も注意しちゃったよな。「前にも教えただろ」と言ったら、よけいに慌てちゃったよな。

山寺さん:そういうこともありますが、優しいです(笑)。

柿沼さん:優しいです(笑)。

小久保さん:同じ障害といっても、人によって得意不得意も違うので、その特徴を指導側がよく理解して、その人に合わせた教え方を心がけています。上司からは「叱らず指導せよ」と言われているけど、自分は叱ることもあります。社会人として、この世界のプロとして一人前になってほしいから。


おおつか:今後、お二人に期待したいことはありますか?

小久保さん:より難しい仕事に挑戦して職域を広げてもらえたらうれしい。覚えるのに時間のかかる仕事も、じっくりやれば必ずできるようになるから。

おおつか:お二人の目標は?

柿沼さん:汚れに合わせて洗剤を選んだり、希釈したりするのを自分でできるようになりたいです。

山寺さん:先輩としてしっかり後輩を指導できるようになりたいです。

おおつか:頑張ってください!!

常務取締役の髙橋さんにお話を伺います。


おおつか:障害者雇用を始められたのはいつ頃からですか?

髙橋さん:平成16年に身体障害者を採用しました。知的障害者の採用は平成21年からで、すべて特別支援学校からの新卒採用です。平成22年に山寺さん、平成23年に柿沼さんが入社しました。

おおつか:障害のあるスタッフが清掃の仕事をすることについて、どんなふうに感じていますか?

髙橋さん:すごくまじめで熱心だと思います。遅刻や欠勤なんてまったくありません。仕事の選り好みをせず、コツコツと取り組んでくれます。「適当にやっておこう」というようなことは一切ないですね。

おおつか:山寺さん、柿沼さんの仕事ぶりを拝見して、その通りだと思いました。

おおつか:知的障害のあるスタッフの教育をとても手厚くなさっていると伺いました。

髙橋さん:長年勤務しているベテランの社員が指導役となり、1年間同じ社員が指導する体制をとっています。スキルの習得においても効果が高いですし、障害のある社員本人も安心感があります。

おおつか:ベテランの社員がいる現場へ配属するということでしょうか?

髙橋さん:はい。そしてなるべく大きな現場に配属します。責任者、副責任者が複数いるような。大きい現場だと仕事のバリエーションが豊富なので、適材適所が作りやすいですしね。

おおつか:なるほど。大きい現場というだけでうまく行くんですか?

髙橋さん:いえいえ(笑)。指導員に任命されたすべての社員には、雇用支援機構などが行っている障害者職業生活相談員の講習を受けてもらっています。本社でも年間10回にわたり、指導力向上のための研修を実施しています。これは障害者への指導に限ったことではなく、指導全般のスキルアップを図ってのものです。また、障害のある社員たちにも年に1回は本社に集まってもらい、一緒にお昼を食べながら「最近どう?」といった感じで話を聞きます。

おおつか:すばらしいですね。


髙橋さん:当社では、「企業は利益を上げるだけでは務めを果たしていない」「障害者雇用を積極的に行う」といった社長方針が示されています。それによって障害者雇用を進められるのはありがたいことですが、CSRとしてという側面だけでなく、それ以外にもよいことがたくさんあります。

おおつか:どんなことでしょう?

髙橋さん:年配のスタッフが多い業界ですが、若い彼らが入るとコミュニケーションが増し、全体の雰囲気が良くなったり、現場のモチベーションが上がったりといった効果を感じます。

おおつか:組織が活性化するんですね。

髙橋さん:はい。そのとおりです。

髙橋さん:山寺さん、柿沼さんはビルクリーニング技能士試験に一度で合格しました。彼らの頑張りに触れて、他のスタッフの士気も向上します。彼らの頑張りは弊社の自慢でもあります。

おおつか:障害者雇用をしない理由はないですね。

髙橋さん:そう思います!


おおつか:障害者雇用を検討中の企業に向けてメッセージをお願いします。

髙橋さん:今は障害者雇用を頑張っているとお客様も評価してくださる時代です。彼ら(障害者社員)はみんな頑張り屋で、一生懸命仕事をしてくれます。「障害があるからできない」という思い込みをしないようにすれば、必ずうまくいくと思います。

~おおつかのひとりごと~

「『できること、得意なことをやらせなさい』といつも髙橋常務に言われている」と主任の小久保さん。指導員は皆、障害者職業生活相談員の講習を受講、障害者社員の配属先で1年間マンツーマンで教育を行う。いままで採用した障害者は、種別を問わず全員就業中だそう。うまくいっている企業には共通点がありますね。トップが方針を明示することをスタートラインに、雇用管理の仕組みが機能しています。常務の髙橋さんは、今回取材の障害者社員の名前はもちろん、仕事ぶりや性格、趣味もよくご存じでした。障害者雇用を現場任せにしていない証拠です。

訪問先データ

会社名:大星ビルメンテナンス株式会社
所在地:東京都文京区小石川4-22-2小石川4丁目ビル
従業員数:1,139人(うち障害者数12人)
http://www.taisay.co.jp/

関連記事一覧

関連コンテンツ

PAGE TOP