障がい者雇用事例/おおつかがゆく!

障害があっても大丈夫。一人分の労働力として十分期待できます

株式会社サンアメニティ
取締役 CSR担当 布施 賀晶 さん 
業務課長 鈴木 健一 さん
業務推進室長 内田 人己 さん
陣内 宣行 さん

ビルメンテナンス事業、スポーツ施設の管理業務などを営む㈱サンアメニティ。今回取材に伺った東京・台東複合施設いきいきプラザの現場では、日常清掃と設備メンテナンスを請け負っています。行政窓口、貸し会議室、老人介護施設などからなる建物で、入社2か月目の障害者と一般スタッフがともにチームを組んで日常清掃業務にあたっています。

こちらが清掃と設備管理の委託を受けている台東区複合施設いきいきプラザ。


2016年4月入社の陣内(じんのうち)さんです。
取材に伺ったのは5月中旬。入社して1ヶ月半です。

お仕事ぶりを拝見します。
廊下のモップがけの様子。

長身の身体を活かして効率よく作業が進んでいます。

ごみの処理。回収後、缶・ビン・ペットボトルなど、他のスタッフと一緒に分別作業を進めます。

入社2か月目だとは思えないほどテキパキと仕事が進みます。

取締役の布施賀晶さん 業務課長の鈴木健一さん 現場を統括指導している業務推進室長の内田人己さんにお話を伺いました。

内田さん:以前にもこの現場で3人の障害者を雇用していました。語弊のある言い方ですが、以前の3人に比べて、今回入社してくれた陣内さんは安定感があるというか、すごく楽というか。

おおつか:以前の障害者雇用のときは安定感がなかったということですか?

内田さん:2人はあっという間に辞めてしまいました。残りの1人はそのあと1年くらい頑張ってくれた。でも、体調不良で欠勤や早退が多かった。彼を紹介してくれた福祉施設の職員は、しょっちゅう「すみません」って謝罪に来てくれたけどね。現場に穴が開いてしまうのでフォローが大変でした。

鈴木さん:一番困ったのは、周囲のスタッフたちも障害者スタッフが不調になるのを負担に感じてしまっていたこと。いきなり欠勤になったり、仕事を頼んでもうまくやってもらえないと、周りがしんどくなっちゃう。

おおつか:なぜ今回の障害者採用には「安定感」があるのでしょうか?

布施さん:いまから思えば、就労の準備ができていない人を採用してしまっていたのだと思います。障害の特性のこともよくわかっていなかった。当時採用した障害者は、公募の求人にフリーで応募してきた人。何もわからないので、通勤が楽な地元の人を採用したほうがいいかなとか、なんとなく大丈夫かなといった感覚で採用してしまいました。

おおつか:その方々は面接で採用したのですか?

布施さん:面接です。面接で把握できる情報なんてごくわずかなものです。

おおつか:陣内さん(今回の採用)については採用プロセスが違うということでしょうか。

布施さん::面接だけでなく実習(実際の職場での仕事体験)をやりました。彼が在籍していた支援機関から、訓練中の状況、障害特性、配慮してほしいことなど詳しい情報を提供してもらいました。

おおつか:障害に関して十分に情報収集できていると、採用側の安心感はまったく違いますね。本人を前にして質問しにくいですが、陣内さんの採用の決め手は何だったのでしょうか。

布施さん:基本的な基準は、一般のスタッフと同様です。一つめは仕事をしたいという強い意思。二つ目の基準は清掃の仕事の適性です。

おおつか:「清掃の仕事の適性」とは?

内田さん:器用さとか覚えの早さではないですよ。清掃の仕事が好きかどうか、きちんと目を配ったりできるかどうか、心を込めて作業をやろうとしているかです。とっとと終わらせてしまいたい、早く終わらないかなあと思って仕事している人はダメ。適性がない。そういうのは障害者だけの問題じゃないですね。我々はちょっと見ればわかります。


布施さん:やる気と適性が陣内さんにはありました。

おおつか:現場を統括する立場の内田さんが、もう一度現場に障害者を迎えようと思った理由は?

内田さん:最後まで残った障害者スタッフとの関わりから多くを学んだからでしょうか。粘り強く指導を続けるなかで心が通じ合うようになり、そうこうするうちそのスタッフは一人前の仕事ができるようになったんです。3人いた障害者のなかで一番仕事ができなかった人ですよ。勤怠はよくなかったけど(笑)、働きたいという意志があり、仕事の適性があった。だから陣内さんなら絶対大丈夫だと。

おおつか:なるほど。でも採用担当は大丈夫だと思っても、障害者と働いて苦労したのは現場のスタッフですよね。現場は「もう障害者雇用はNG」と言わなかったのですか?

内田さん:どうなのでしょうね。現場の責任者である私が「一緒にやる」と決めたら、「NO」とは言わせないですから(笑)。

布施さん:事前にこの職場にも来てもらい、一緒に働くスタッフたちとコミュニケーションを取ってもらいました。その事前の関わりがあったから大丈夫だったんだと思います。

内田さん:障害者雇用に限らず、指導というのはあきらめたらいけない。どんなスタッフでも粘り強く関わっていけば、必ず一人前になる。日常清掃ではなかなか芽が出なくても、定期清掃の現場に配置した途端、ぐんぐん力を発揮しはじめるスタッフもいる。よく考えてみると、障害者雇用として何か特別なことをやっているわけじゃないですね。

鈴木さん:障害者雇用を行っていくうちに、現場のスタッフたちの見方が変わってきたと感じます。

経験が少ない頃は、手間がかかるんじゃないかといった思い込みもありました。最近は障害者スタッフに、労働力として期待していいということを感じはじめているようです。「健常者の何割かの能力」ではなく、「一人分」を期待できると思います。

おおつか:障害者雇用を検討中の企業へ、メッセージをお願いします。

布施さん:身構える必要はなく、新人を採用し育てることと全く同じだと思います。得意不得意の見極め、適材適所、できると信じて粘り強く指導する、やる気を伸ばし、できることを増やす。障害者の労働力は企業にとっての可能性で、彼らを戦力化することで将来展望が大きく開けていくと思います。

~おおつかのひとりごと~

障害者のみならず、多くの清掃スタッフ教育を担当する業務推進室長の内田人巳さん。担当したスタッフすべてを一人前にしようと強く願って指導しているとのこと。その秘訣を伺うと、すごい言葉が返ってきた。
「仕事がうまくできなくても『あとはやっておくからいいよ』ということは絶対にやらない。指導側が辛抱することだよね。一緒に最後までやる。そうすると、目つきが変わってくるから。」人材育成の極意を聞いたような気がします。

訪問先データ

会社名:株式会社サンアメニティ
所在地:東京都北区王子3-19-7
従業員数:698人(うち障害者数:15人)
http://www.sunamenity.co.jp/

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