障がい者雇用事例/おおつかがゆく!

外部支援機関の力を借り、安心して雇用が進められました

株式会社アクセス

株式会社アクセスは、神奈川県川崎市を拠点にパチンコホールなどの経営を行うアミューズメント企業です。知的障害、精神障害のあるスタッフそれぞれ1名が、清掃の業務を中心に就業中です。採用して3年が経過した現在、彼らの仕事ぶりと障害者雇用がもたらした効果についてお話を伺いました。

人事課の主任 渡邊裕さんです。障害者雇用を進めた責任者です。

おおつか:障害者雇用のきっかけについて教えてください。
渡邊さん:4年くらい前の2015年ごろかな。ハローワークの雇用指導官から、「おたくもそろそろどうですか?手伝いますよ」と言われまして(笑)。
弊社の経営方針では、地域密着型経営、大家族主義を標榜しています。ですから法定雇用率の達成はもちろんですが、障害を持った人もこの会社で働いてよかったと思っていただけるような障害者雇用を行いたいと考えました。

おおつか:渡邊さんはご担当としてどんなことを?
渡邊さん:まずはセミナーに出席して情報収集に努めました。ハローワークや障害者職業センターの主催するセミナー、障害者職業生活相談員の認定講習にも出ました。同業他社で、すでに障害者雇用を進めている企業や特別支援学校へ見学に行ったり。
おおつか:いろいろな情報が得られましたね。
渡邊さん:はい。採用の方針も決めました。「会社の大事な人材として戦力化を図る」「安心して長く働いてもらう」です。経営の承認も得ました。この時点では、一般的に勤怠が安定していると言われる知的障害の人を店舗の業務で採用するイメージを持っていました。
おおつか:現在、貴社では精神障害の人も就業していますよね。
渡邊さん:そうなんです。精神障害がある人のすべてが勤怠不安定じゃない、とアドバイスされたんです。しかも精神障害のある人は、業務スキルも一定レベル以上期待できる。どういう要因の場合に勤怠が不安定になるのかということを具体的に把握しておけば、いたずらに勤怠不安定を恐れることはない。そして採用前に実習をすれば、それらの見極めが可能だとも。

おおつか:そのアドバイスをしたのは?
渡邊さん:本社から歩いて数分のところにある、就労支援施設のスタッフです。お陰様で、安心して精神障害のある人を採用することができました。いま就業してくれている精神障害のあるスタッフは、その就労支援施設で訓練をしていた人です。

おおつか:障害のあるスタッフの仕事の流れは?
渡邊さん:知的障害のスタッフと精神障害のスタッフ2人で一緒に仕事を進めています。朝礼後、まずパチンコホール床清掃を行います。そして建物の外、本社ビルの廊下・階段・会議室などの清掃。その後、備品の清掃を行って片付け、日報を記入して終業です。業務内容と手順を定めたものを作成して、それに沿って業務を進めてもらっています。「晴れの日」と「雨の日」の2パターンがあります。
おおつか:そのほかにマニュアルも充実していますね。ずいぶん手間がかかったんじゃないですか?

渡邊さん:最初をきちんとやればその後は楽になると思ったので、面倒臭がってはいけないと思いました。でも初めてのことで、いろいろ戸惑いましたね。なので、専門家の力を借りました。そのほうが早い(笑)。
おおつか:専門家ですか?
渡邊さん:就労支援施設のスタッフや障害者職業センターのジョブコーチです。マニュアルだけでなく、仕事の切り出しやコミュニケーションの取り方についてもアドバイスを受けました。とてもありがたかったです。
おおつか:中小企業はどこも人手不足ですものね。
渡邊さん:はい。中小企業ほど、外部支援機関の力を借りることを強くお勧めします。

こちらが清掃担当のお二人。

ホール清掃の様子です。

外掃除の様子です。地域清掃も実施しています。

トイレ清掃の様子です。

備品清掃の様子です。

こちらがマニュアル、
写真を使ってわかりやすく作成されています。

指導役の駒場幸一さん。接客インストラクター。人の育成に関しては30年を超えるご経験をお持ちです。

大家族主義を標榜するアクセス。
月に1回のバースデイ食事会の一コマ。

全スタッフが集まる新年会にももちろん参加します。

おおつか:渡邊さんご自身は様々な情報収集をされて、安心感や納得感があったと思うのですが、一緒に働く現場の従業員の方に不安はなかったのですか?
渡邊さん:ありました。それでさまざまな人材を育てた経験を持つベテラン社員に、障害者スタッフの指導役となってもらいました。人材育成を担当している社員です。他のスタッフには「何かあったら指導役に言ってくれ」と伝えました。さらに、関わりが生まれそうな従業員40人ほどを対象に説明会を行いました。朝礼だったり、ミーティングだったり、全部で4回くらい。皆を巻き込む作戦です(笑)。
おおつか:その内容は?
渡邊さん:今度、障害のあるスタッフが入社します。こんな人たちですよ。こういう配慮が必要です。これは会社の理念に基づいてやっていることなので、協力してほしい。そして、何か不安なことあったら指導役に言ってほしい。最初から完璧を期待しないで、でも特別扱いはしないでほしい、と。
おおつか:どんな反応でしたか?
渡邊さん:もちろん全員が賛成してくれたわけではありませんので、無理に近づこうとしなくても挨拶してみようかなと思ってもらえればいい、と伝えました。なかには「家族に障害者がいる。関わり方はこんなふうにするとうまくいく」などアドバイスをくれるスタッフもいて、とても励まされました。

おおつか:入社から3年あまり経ちましたね。
渡邊さん:障害者スタッフの入社がプラスに働いていると思います。ホールスタッフが、それまで清掃に充てていた時間で他の仕事ができるようになりました。また、店舗のクレンリネスのチェック項目をすべてしっかりクリアできるようになりました。

おおつか:障害者雇用を進めたいビルメンテナンス業界の企業の方に、アドバイスを。
渡邊さん:安心してください、と言いたいかな。雇用前に不安視していた出来事は、何一つ起こらなかったので。それから、自分たちだけでやろうとしないこと。外部の専門家の力を借りて取り組んでいけば、楽に進められますよ。中小企業の場合は特にそう思います。

~おおつかのひとりごと~

「関わるなかで、彼ら(障害者スタッフ)の人生のことまで考えるようになった。ただ働いてもらって給料を払うということだけじゃないんだ。仕事というステージで彼らの人生をどう充実させられるかというと大きな命題をもらった」とおっしゃる採用担当の渡邊さん。障害者雇用に携わった方のなかには、障害者雇用で自身の仕事観が変わったとおっしゃる方にお会いすることがある。今回の渡邊さんもそのお一人のように感じる。障害者雇用って、障害者スタッフだけじゃなく、関わる人も成長させる。どうもそんな気がします。

訪問先データ

会社名:株式会社アクセス
本社 :神奈川県川崎市高津区久本3-3-14
エルアールビル5F
従業員数:130人(うち障害者数3人)

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