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障がい者の働く場レポート

工夫が生まれ、人が育ち、業績がよくなる。障がい者雇用のメリットは想像以上に大きい

四国管財株式会社
お客様係&代表取締役 中澤 清一 さん

四国管財株式会社は、高知市を中心に医療機関、銀行、量販店などの清掃・管理を行うビルメンテナンス企業。働くことを社員の「夢の実現の手段」と位置づけるとともに、「夢を具体的に持つ」「常に笑顔」などの価値観・行動指針が明確化するなど独自の経営方針、企業文化によって、業界内外から注目を浴びています。そんな同社の障がい者雇用への思い、取り組みについて、社長の中澤清一さんに伺いました。


おおつか:障がい者雇用をお始めになったきっかけを教えてください。

中澤さん:それは、子供のころにまでさかのぼる話になります。

おおつか:子どものころ?

中澤さん:母が40代の時から杖なしでは歩けない状態でした。身近に障がい者がいたことで、子供のころから、障がい者を取り巻く社会の意識に対して、違和感を感じていたんですよ。

おおつか:社会の意識への違和感ですか?

中澤さん:いろいろな配慮をしてくれるんだけど、当事者の側からすると、その配慮がピント外れ。どんな配慮を必要としているのか全然わかってもらえていない。旅行へ出かけてもそんなことの連続で、「障がいがあってお気の毒でしょう。障がい者だから先に乗ってください。障がい者だから最後に降りてください」なんて言うけれど、多くの人の目にさらされながら移動させられて、その移動用のバスも思い切り段差があったり。変でしょ。

おおつか:なるほど。

中澤さん:私はビル管理会社の経営者なので、福祉の観点からの発想はありません。実際に障がい者を雇用し、一緒に働いてもらう。配慮という名のもとに障がい者を特別扱いして遠ざけるようにするのでなく、義務でも温情でもなく、きちんと戦力として活躍してもらう。

おおつか:うんうん。

中澤さん:2001年です。友人の紹介で車いすの人を面接しました。駐車場の管理を任せられそうだ、採用できると思いました。でも、お客様(駐車場管理業務の依頼主)に断られてしまいました。

おおつか:なんと言って断られたのですか?

中澤さん::「障がい者がその仕事をしていると、四国管財への委託料をケチっていると思われる。業務に配置するのは勘弁してほしい」と。障がい者を雇うことは「面倒くさい」ことで、「迷惑がかかる」「リスクがある」と思われているんだなと実感しました。

 

中澤さん:他にもいろいろなエピソードはありますよ。労働局主催の障がい者面接会で求人するとき「どんな人を採用したいか」とたずねられたので、「夢のある人」と言いました。そうしたら、担当の人に「困る」と言われました。理由は「応募者が殺到してしまうから」なんだそうです。なんで応募者が殺到しちゃいけないのかと聞いたけど、ちんぷかんぷんで。社会の意識って、自分が考えているのとはだいぶ違うぞと思いました。


中澤さん:合同面接会で会った障がい者がふてくされていて、理由を聞くと「どうせ企業は障がい者を採用しない」「企業は自分たちの障がいのことを正しく理解してくれない」と言うではありませんか。

おおつか:どういうことですか?

中澤さん:企業は障がい者を“健常者のものさし” に当てはめて評価し、不採用になると言うのです。 一方で、就業希望の障がい者側も、面接だというのに茶髪やジャージで現れる人や、仕事としてできるレベルのワープロの技術ではないのに「自分の得意分野はワープロだ」と言う人もいました。

おおつか:そこまで踏み込んでいかれたんですね。

中澤さん:「雇う側の企業の意識も、雇われる側の障がい者の意識も、いろいろ課題があるぞ」と思いましたが、ではどうすればお互い負担なく働ける障がい者雇用ができるのか、すぐにはよい案が浮かびませんでした。

おおつか:それで、どうされたのでしょうか。

中澤さん:経営者仲間や福祉団体の人と一緒に、企業が障がい者を雇用するメリットや、障がい者に向いている仕事について研究しました。就業希望の障がい者を対象に、企業で働くためのビジネスマナーを身につける勉強会や、企業を選ぶときの考え方を知ってもらう勉強会を開いたり、合同面接会を企画したり。障がい者雇用のメリットは、ガイドブックにまとめて他の企業にも配布しましたよ。

おおつか:すごいですね!


おおつか:障がい者雇用のメリットについて、もう少し教えてください。

中澤さん:もちろんです!障がい者を受け入れた現場では、必ず工夫が始まります。そのことによって職場のチームワークが向上し、業務効率が上がる。そして一緒に働くスタッフの教える力が向上し、一緒に働くスタッフの人間性が向上する。それに助成金だっていただけます。これを聞いた経営者は、障がい者を雇用しない理由はありませんでしょ(笑)。

おおつか:仕事についてはどうでしょう?どのようにすれば、障がい者も健常者も負担なく働けるでしょうか?

中澤さん:弱みを見て、「これはできない」「あれも苦手」と考えるのではなく、障がいがあるスタッフの「強みを生かす」発想が大事ですね。たとえば、モップ洗い作業がよい例です。現在、弊社では3ヵ所の現場でモップ洗いを集中的に配置し、主に障がい者社員に担当してもらっています。現場で担当ごとにモップ洗いをするより業務効率が上がって、水の使用量もガクっと減る。お客様にも喜んでもらえるんです。

おおつか:障がい者の採用基準を教えてください。

中澤さん:「ウソをつかないこと」「四国管財の理念やクレドの内容が好きであること」「夢があること」「人の悪口を言わないこと」の4つです。これは健常者も同じで、障がいがあってもなくてもまったく同じ基準です。

おおつか:「○○ができる人」といった基準はないのですか?

中澤さん:ないですよ。だって、工夫して教えればできる仕事は必ずありますから。そして「分け隔てなく」対応することが大切です。

おおつか:「義務でも温情でもなく」ですね。

中澤さん:そのとおりです!


実際の障がい者雇用の現場。管理を受託している社会医療法人近森会に伺いました。

近森会は、JR高知駅・はりまや橋から歩いて5分ほど。近森病院、総合心療センター、リハビリテーション病院など、複数の施設からなる県内屈指の医療機関です。

土居亜莉愛さんです。 
28年春の新卒入社。うかがった午後の時間帯は、午前中の清掃で使用したタオル干しの真っ最中でした。


洗濯後の乾いたタオルを整理していきます。


リーダーの長山正子さんです。


仲良くテキパキ仕事を進めていきます。

岡野智子さんです。
土居さんの7年先輩です!


病棟の清掃の合間にタオル干しの作業に参加。

半田育大さんです。

病院内の清掃で使用するすべてのモップを洗浄しています。

統括ディレクターの筒井潤さんです。

「あえて壁は作らない」「一人の社員として接する」が指導方針とのこと。
中澤さんの方針がしっかりと浸透していることがわかります。

おおつか:障がい者雇用を検討中の企業にアドバイスをお願いします。

中澤さん:障がい者雇用のメリットに確信を持ってやっていけばいいと思います。「社会的責任」や「社会貢献」といった世界に逃げてはもったいないですよ。障がい者雇用をすれば会社がよくなるんですから。障がい者雇用は、トップが強いリーダーシップを発揮して進めるべき経営課題だと断言します。

 

~おおつかのひとりごと~

「障がい者雇用は、社長が強いリーダーシップを発揮してやるべきだ」と断言する中澤社長に、「世の経営者は障がい者雇用にあまり関心がないのでは」と少々意地悪な質問をさせていただいた。「大丈夫。気付いている経営者が増え始めている。よい会社にしたいと願うなら、早く気付かなければ損をする」とニコニコ顔で答えてくださった。この記事を、たくさんの経営者の方がご覧になることを祈るばかりです。

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訪問先データ

会社名:四国管財株式会社
所在地:高知県高知市南はりまや町2丁目4番15号
従業員数:600人(うち障がい者数9人)
http://www.shikokukanzai.co.jp/

 
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