障がい者雇用事例/おおつかがゆく!

最初に成功事例を作る。彼らの可能性を心から信じる。あとは「しぶとく」一歩一歩。

東急リバブル株式会社

全国に194か所(2019年5月16日時点)のネットワークを有する不動産仲介業大手の
東急リバブル株式会社。
5年前から精神障害、発達障害者を積極的に採用されています。40名を超える障害者スタッフを率いる人材開発部・部長の野中絵理子さんにお話を伺いました。

本社ビルの経営管理本部の様子です。

精神・発達障害のあるスタッフのみなさんが働いています。
そのうち、通勤できるスタッフはチャレンジスタッフと名付けられ、社内では「チャレスタ」の愛称で親しまれているそうです。
ここで働く「チャレスタ」さんは、20名。男性はビジネススーツ、女性はオフィスカジュアル着用。障害のないスタッフと同じフロアです。

業務は15部署から、180種にものぼります。
経理伝票のチェック、宅地建物取引士証の更新確認、在籍証明書発行業務、宅建勉強会の採点・結果入力・ランキング表作成などなど。

おおつか:障害特性を理解し、意欲と能力に合わせて多種多様な仕事を提供していく。
障害者雇用の理想の形ですが、そう簡単にはできないことのように感じます。

野中さん:おおつかさんには申し訳ないですけど(笑)。「この仕組み」「この方法」といった特別なことをやっているつもりはないんですよ。

おおつか:とてもそうとは思えませんけど。
野中さん:もともとそういう社風だったんだと思います。
おおつか:社風ですか?
野中さん:不動産仲介という事業に携わるわたしたちは、「お客さんはどうしたいんですか」「何をお望みなのですか」「本当のニーズを見つけていくとか」ということを常に自問自答するように教育を受けてきています。この人はどうしたいんだろう、どうすれば喜んでいただけるだろうと。人に寄り添い、人を理解して進めていくというスキルに秀でた社員は多いですから。
おおつか:そういう社員のみなさんと働くからうまくいったと。
野中さん:はい。今の状態をほめていただけるとすれば、東急リバブルの企業文化の賜物だと思います。
おおつか:そういう社風でない企業は簡単ではない?
野中さん:わたしたちは自然にやっていますが。そういう社風じゃないと難しいかもしれませんね(笑)
おおつか:それは困ります(笑)

おおつか:チャレンジスタッフチームでの障害者雇用がスタートしたのは?
野中さん:2014年5月です。発達障害、精神障害それぞれ2名、計4名の採用が始まりです。
おおつか:スタート時はどんな仕事を?
野中さん:当時は4種類でした(笑) 。経理伝票のチェック、郵便物仕分け作業などです。当時、周囲の社員はあまり関心を持っていなかったと思います。

野中さん:でもチャレスタが担当するまでは、仕事の合間に社員がやっていたんですよね。専任担当である必要はないけれど絶対にやらなければならない仕事。結構な量があるものです。それをチャレスタが担う恰好です。
チャレスタたちの仕事は正確。期日は絶対守る。結果、社員たちの仕事が楽になる。
おおつか:そうやって180種類もの仕事に増えていったと。
野中さん:社員へのセミナーもやりましたね。「こういう仕事得意です」ということを知ってもらう意図です。「この仕事をやってもらえるか」「じゃあこの仕事もやってもらいたい」と依頼の打診が増えていきます。依頼された仕事も正確に、納期厳守で。
おおつか:すばらしいですね。

おおつか:30人を超えるチャレンジスタッフのマネジメントはどんな風に?
野中さん:スタート時は専任の担当者を配置しました。仕事の手順書作成、特性に合わせた業務差配と品質や進捗の管理。そして日々の体調やモチベーションの把握のためのミーティングや面談もこまめにしました。
そして支援機関との連携をする役です。かっちり「型」を作ったんです。
おおつか:精神、発達障害の方々にとってとても働きやすい環境ですね。
野中さん:いま思えば、1期生のチャレスタに恵まれました。全員が就労移行支援事業所の訓練を受けている人達で、自身の障害を適切に理解できており、必要な配慮について自己発信できる人達でした。

<わずかな時間を見つけては面談をする野中さん>

おおつか:今もそのやり方ですか?
野中さん:今はチャレスタだけで自走できるチーム運営に進化しています。チャレスタの中で4人にサポーターという役割を担ってもらっています。日常業務の差配、進捗管理、仕事が難行しそうな人へのフォロー。それは見事です。
障害に伴う体調の相談は社員が対応しますが、他の業務との兼務です。業務についてはチャレスタだけで進んでいると言えます。

おおつか:すばらしいですね!
野中さん:それはある出来事がきっかけです。1期生のチャレスタたちがこちらから依頼しないのに、新しく入社するチャレスタのためにと、自分たちでマニュアルを整えてくれていたんです。見てみると実にわかりやすい。「精神障害があることで『あれはできない』『これはできない』と思ってはもったいない。不得意なことはあるかもしれないが、できないのではない。もっといろんな仕事をやってもらおう。能力を引き出していこう」そう決心したのが4年くらい前です。
おおつか:それからどういう風に?

野中さん:とにかく試していきました。うまくいかなかったら他の方法を考える。
おおつか:なるほど。とにかく「試す」なのですね。
野中さん:一人ひとり得意不得意が違いますし、体調の波もありますし、そういうことにもあまり振り回されすぎないようにして。たっぷり時間をかけて見ていけば、安定してきます。一歩一歩、ひとつひとつの連続でしたね。

こちらは、フラワーアトリエチーム所属の清水亮士(りょうじ)さん。入社2年目です。
フラワーアトリエチームは東急リバブルの仲介で成約した顧客へのギフトフラワー製作、発送をするチームです。

ボックスフラワーの製作中です。

茎の高さ、花を活ける場所、角度は細かく決められています。
が、花は一つひとつ違います。その状態を把握し、バランスを取って、しかもスピーディに作業を進めていく必要があります。

これらの材料が加工されて。

スタンディングブーケ、ボックスフラワー、ハーバリウムの3種類のギフトフラワーになります。

おおつか:障害者雇用を軌道に乗せるということについて、野中さんのご意見をお聞かせください。
野中さん:人間対人間です。少々のことでぐらぐらしない。必ず成長するという確信を持つこと。しぶとくやっていくということが大事ですね。
おおつか:「しぶとく」ですか。
野中さん:体調の波とか、やりとりのずれとか、成長スピードにも個人差があります。でもいちいちぐらぐらしない。彼らの可能性は想像以上に大きいです。それを疑わないこと。その「しぶとさ」が大事です。

~おおつかのひとりごと~

「障がいを理解してもらって働ける」「仲間と働ける」「自分たちも会社を支えている」「東急リバブルの一員だ」とチャレンジスタッフのみなさんのコメントです。野中さんたちは、面接のときに必ずこう伝えている。「チームで協力し合って仕事をしています」と。精神障害のあるスタッフ同士の協力ももちろんだが、障害のある人もない人も分け隔てなく「東急リバブルという一つのチーム」で仕事をしていることを伝えているように感じられる言葉です。「東急リバブルという一つのチームを」これが東急リバブルの障害者雇用の強さなのだと感じたのでした。

訪問先データ

会社名:東急リバブル株式会社
本社 :東京都渋谷区道玄坂1-9-5
障害者雇用人数:69人(2019年6月1日時点)
企業情報はこちら

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