障がい者雇用事例/おおつかがゆく!

障害者が働きやすくするためにした工夫で他の清掃スタッフも働きやすくなりました

株式会社互幸ワークス
代表取締役 竹中 伸幸  さん

川崎市に本社のある株式会社互幸ワークス。オフィス・商業ビル、マンションの清掃及び設備管理の総合ビルメンテナンス業であり、関連事業として建設業・不動産業も営んでいる企業です。全国障害者技能競技大会(アビリンピック)のビルクリーニングの競技種目で金賞を受賞した知的障害者スタッフが勤務し、活躍しているとの情報をいただき、取材に伺いました。

大谷晃弘さんです。
入社6年目
2013年のアビリンピック、ビルクリーニングの競技種目で金賞を受賞されました。

笑顔、はきはきとした応対。
とてもすがすがしい気持ちになります。

仕事の様子です。

ダストクロスで除塵作業をしているところ。

竹中社長:大谷さんは、はっきりいって一般のスタッフ(健常者)よりすごいと思っています。

おおつか:一般のスタッフより!?どんなところがすごいのでしょうか?

竹中社長:いま、大谷さんには日常清掃の代務担当として、いろんな現場に入ってもらっています。これは結構大変な仕事です。その日その日で現場も仕事のやり方も違う。ヘルプで入るでしょ。そうすると現場のスタッフやお客さんから、「次から大谷さんがいい」「担当は大谷さんにしてほしい」なんて言われるんです。そんなふうに言われることって、普通はめったにないですよ。

おおつか:なるほど、それはすごいですね!どんな理由からそういったリクエストがあるのでしょうか?

竹中社長:はきはきして、礼儀正しく、清潔感がある。手抜きなんて絶対にしない。集中力が途絶えない。もちろん遅刻も欠勤もない。言葉にするとありきたりなんだけど(笑)。障害者でなくても、そこまでのレベルに到達するのはなかなか簡単ではないですよ。

久世さんです。

物静かな感じで周囲から好感をもたれるタイプですね。
高津区役所の日常清掃が担当現場です。

椅子の拭き上げ作業。

「そんな大したことないです」と謙遜しながら、2枚のタオルを使い分け、椅子の各部分を拭く手つきは、かな~りテキパキ!

竹中社長:安心して仕事任せられますよ。ものすごくまじめですごいと思う。
とっても助かってます。


おおつか:障害者雇用を始めるきっかけは何でしたか?

竹中社長:2006年、地域の中学校の生徒さんの職場体験を受け入れていた流れで、特別支援学校の生徒さんたちの職場体験の受け入れにも応じたのがはじまりです。

おおつか:障害のある生徒さんの職場体験を受け入れるということについては?

竹中社長:軽い気持ちからです。清掃の指導担当者の勉強になるかもしれないなと。実際にやってみたら、社員たちから「とても勉強になる」と好評で(笑)。「機会があればやっていこうよ」と取り組んでいくうち、徐々に人数が増えていきました。今では年間で100名もの実習生を受け入れする一大事業です(笑)。


おおつか:その実習生の中から採用を?

竹中社長:結果としてはそうですが、当初、自分たちでは障害者雇用と実習はまったく繋がっていなかったんです。当社から「働いてみないか」ではなく、実習生の1人、柳田良輔さんが「互幸ワークスで働きたい」と志願してくれたので、「じゃあやってみようか」という感じでスタートしました。


おおつか:雇用されてみていかがでしたか?

竹中社長:手探りでやっていきましたね。特別支援学校の先生方がサポートしてくださったので、相談しながら。ありがたいことに、社員たちも障害者職業生活相談員の資格を取ったり、関連のセミナーに出席したりして、熱心に勉強してくれました。本人の努力ももちろんです。ぐんぐん実力をつけてくれました。

竹中社長:同じ特別支援学校から、1年あけてもう1人採用しました。それが大谷さんです。入社時は、柳田さんが大谷さんの指導役も担当してくれていました。互いに競い合って、技能を伸ばしていってくれたんだと思います。ものすごく伸びました。ついに大谷さんは一昨年、アビリンピックの全国大会でみごと金賞を受賞しました。


おおつか:彼らと一緒に働いていく中で、印象に残っていることはありますか?

竹中社長:障害に配慮して、まっすぐ掃けるよう床面にテープを引いたり、方向がわかりやすくなるようモップの柄に印をつけたりしたら、一般のスタッフたちから「仕事しやすい」「正確にできる」と、とても喜ばれました。障害者が働きやすくするための工夫をすると、障害のない人も働きやすくなる。面白いなぁ、「ユニバーサルデザイン」って、こういうことなんだなぁと実感しました。


おおつか:今後のビジョンをお聞かせください。

竹中社長:大げさかもしれないけれど、ダイバーシティ(多様性)経営を実践していきたいです。障害者も、高齢者も、女性も、いろんな人にもっともっと活躍してもらえる会社にしていきたい。少子高齢化が進み人材不足の中、むしろそうやって活躍してもらわないと世の中が成り立たない。また、当社1社だけじゃなく、連携しながら業界全体でダイバーシティ経営を実践できるようにがんばりたいですね。


おおつか:障害者雇用を検討中の企業に対するメッセージをいただけますか?

竹中社長:「あまり構えないで」ということでしょうか。「何かあったらどうしよう」と思ったら、絶対に前へは進めないですよ。雇用にあたっては、地域の就労支援機関などの支援を受けている障害者だと企業は安心ですね。働いてもらう中で困ったら支援機関に相談できるし、障害者本人に対しても援助してくれるので。

~おおつかのひとりごと~

大谷さんがアビリンピックの金賞を受賞したあと、特例子会社が数多く見学に訪れ、彼の仕事ぶりに驚きながら「どんな指導方法をしているのか」と質問されたそうです。「普通の教え方をしている」と答えたという竹中社長。おおつかにおっしゃった言葉も印象的でした。「うちは清掃の会社。清掃でお金をいただいている。ワックスを塗ったばかりの床を歩くことは、障害者だからって許されない。緊張感が違うんだよね。」障害者をただただ甘やかしてはいない。これは、障害者が輝く職場に共通する特徴だなぁと納得です。

訪問先データ

会社名:株式会社互幸ワークス
所在地:神奈川県川崎市高津区久本1-2-5
関口第一ビル5階
従業員数:665人(パート含む)
障がい者雇用人数:8名(知的、精神)

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