障がい者雇用事例/おおつかがゆく!

障がい者を大切にするということは、きちんと指導して一人前にすることだと思っています

西田装美株式会社
代表取締役 富田 好昭 さん

神奈川県を拠点に展開する総合ビルメンテナンス企業である西田装美株式会社。
はじめて障害者を採用したのは、今から33年前の昭和58年にさかのぼるそうです。そして、なんとその33年前に採用した障害者社員は現在も活躍しているそうです。胸を躍らせながら、その現場に伺いました。

笹原さんです。勤続33年。
定期清掃班です。ポリッシャー、ワックスがけなど、技術を要する仕事も多いです。ひとつの決まった場所を清掃するのでなく、さまざまな現場に出かけていきます。


この日の現場は、横浜関内駅からほど近い横浜市文化体育館。
取材に伺ったときは、床の洗浄とワックス掛け作業の最中でした。

オールラウンドプレイヤーと周囲が太鼓判。
どんなポジションでもきっちりとした仕事がウリ。腕のよい職人という雰囲気です。


ワックスがけをする笹原さん。
むらなく均一に薄く塗るという作業。
見ているほど簡単じゃないです。
全身を使って素早くスピーディな仕事が続きます。


この日の現場には障害者社員がもう一人。

細田さんです。細田さんもベテランです。
勤続20年。細田さんの売りは「丁寧な仕事」とのこと。
記憶力がものすごく高く、家具移動がある場合など、印をつけなくても、
ひとつの間違いもなく元の位置に戻せるそうです。

無駄な動きも、おしゃべりもなく、サクサクと仕事が進んでいきます。


笹原さんと細田さんの上司、加瀬さんです。

加瀬さん:安心して任せられます。

おおつか:何か特別に工夫していることはありますか?

加瀬さん:特にないんです(笑)普通に一緒に仕事してるだけです。

おおつか:愚問でした!

 

社長の富田さんにお話をうかがいます。

おおつか:お二人(笹原さん、細田さん)とも超ベテランですね。

富田社長:はい、頼りにしております。
人材が集まらないとき、彼らは25日以上出勤してくれた時期もあり、本当に助けていただきました。感謝しています。

おおつか:西田装美では、どうして障害者雇用を始めたのでしょうか?

富田社長:創業者である当時の社長の西田信夫の時代です。横須賀市で市役所清掃の仕事を請け負っていた際、市から知的障害者を雇用してほしいと打診があり採用しました。当時の横須賀市は、障害者支援が手厚く雇用が進めやすかったです。

おおつか:当時から障害者と働くということは当たり前の社風だったのですか?

富田社長:いいえ。決してそうではないです。正直申し上げると、彼らと組むことを嫌がったスタッフもいたのは事実です。

おおつか:どうされたのですか?

富田社長:大丈夫だというスタッフのいる現場に配置しました。私自身も以前は一緒に仕事をしました。彼らとの仕事はやりやすかったです。声掛けをきちんとして心配りをする。そうすると、きちんと仕事をしてくれますから。



おおつか:きちんとした仕事なんですね。

富田社長:彼らは実に忍耐強くやってくれます。
例えば、剥離洗浄ワックス掛け清掃は、資材も多いし、作業工程も気の使い方も通常洗浄ワックス清掃とは比べ物にならない位多いです。その作業にも彼らは一人前の仕事をしてくれます。たとえゆっくりでも、仕上がりがきれいな方がお客さんの信頼が得られる。後片付けの資材の洗浄も丁寧にやってくれます。

おおつか:そうなんですね。

富田社長:昔、私と一緒に仕事をしていた頃は、朝早く出勤して道具を準備してくれていました。その分しっかり打ち合わせができ、早めに気分よくスタートができて、実にありがたいなと感謝していた頃を思い出しました。市役所の定期清掃は、朝8時から夜7、8時は当たり前のことでした。大変でしたが、皆で楽しく充実感を得て仕事をしていた頃を、今回の取材で懐かしく思い出しました。

おおつか:教え方のコツはありますか?

富田社長:「やって見せ、言って聞かせてさせてみせ、褒めてやらねば人は動かじ。」何回でも繰り返し指導する。そうしたらできるようになります。今は言えばすぐできます。

おおつか:ふむふむ。

富田社長:障害のあるなしに拘わらず、最初からできる人は少ないと思います。

富田社長:私たちは、他の従業員同様彼ら(障害者社員)を大切に育ててきました。これからも皆さんと同じように大切にします。大切にするということは、甘やかすことではありません。きちんと指導して一人前の仕事をできるようにするということです。愛情をもって、注意するときはしっかりと注意する。お客様や仲間に信頼される仕事ができるようになる。そのことで周囲からも認められ、長く働き続けていただくことができます。

おおつか:おっしゃるとおりですね。

富田さん:障害があるからと言って、甘やかしてしまうとよくない。頼りにされていないことはすぐにわかりますし、技術も下がりやる気も失せて、結果退職してしまうことになりかねません。

おおつか:障害者を雇用したことで会社に何か変化はありましたか?

富田社長:昨年も雇用させていただきました。今年も4月に雇用させていただくことが決定しております。私自身は、気にかける家族が増え、うれしく思っておりますし、4月入社の方を楽しみにしています。社員も障がいのある方が本社に来たときは、優しく声掛けをしてくれます。いつまでも明るく、楽しく、元気よく働いていただきたいと思います。

おおつか:これから障がい者雇用を始めようとするビルメン企業にアドバイスをいただけますか?

富田さん:アドバイスとはおこがましいですが、実習で試してみるといいと思います。いきなり採用してうまく行かなかったらどうしようと思う企業は多いと思いますのでね。1回でわからなければ何回かやってみるといいと思います。そうやっていくうちに「戦力になりそうだ」と言う感覚が持てると思いますし、やれそうだという人材にも巡り合うと思いますよ。

~おおつかのひとりごと~

業界には、「オーナーの理解が得られないから障害者雇用は無理」というバリアを感じることがあります。今回の西田装美さんでは、日常清掃の場合は事前にオーナーに許可をいただいて現場研修に入るのだそう。その結果はどうか。断られたことは過去に1回のみ。「会社全体が反対するのでなく、窓口になっている『担当者』の意識次第なんです。それどころか最近は、「たいしたもんだ」とほめてもらえることが増えましたよ。」世の中の障害者に対する意識、昔とはがらっと変わっていますね。

訪問先データ

会社名:西田装美株式会社
所在地:神奈川県横浜市
従業員数:256人(うち障がい者数:7人)

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